かのくらかの

かのくらかのが送るかのくらかの。と言われたい。娯楽感想日記。

ネタバレを含みます。

佐藤大輔 皇国の守護者 06 逆賊死すべし 感想

虎城戦新城指揮から一応の終戦まで。
六芒郭よりらしく満足感ある陣地戦ですね。
11大隊の壊滅も含めてね。
鉄量あるのみというのは本当で、もし当初通り後方の支援があったらどうなってたんでしょうか。
それが組織の硬直はあるものの保胤様の体調不良が始まりという悲しみ。
本当、佐脇君はただ劣等感あふれるキャラなら手放しに同情できるんですけどね…
守原の手の内ってこの巻で判明したんでしたっけ?
草浪さんはそれでも好きなんですけど、佐脇君はこの後のあれが派閥関係なくNG。
今回の愉しい愉しい手討が未遂に終わってしまったことが物語最大の事象節だと思います。(事象節って胎界主の造語っぽいですね)


今回の戦は新城がかなり孤独でしたね。
思えば今までは猪口や個人副官が居て、敵にもメレンティンやユーリアが居て。
少なからず新城のことを分かっている人が居たのですが、今回は誰もおらず。
いわんや千早をや。
ミンスキィは新城という障害物を正しく評価できているという感じで、
バルクホルンは新城が嫌いそうな信奉者っぽいんですよね。
だから、今回は孤独。

野々川導術兵への態度にも、自嘲を見せる相手が居ないのです。

まあ、だから、坂東万歳と言いたくなるのです。
わき道ですが、龍族の扱いがすごいですよね。物語として頑なに参加させないんですから。
坂東さんも今回は龍兵一人。前戦では観戦武官として数人「巻き殺し」ただけですからね。

龍族の一転攻勢が構成としてもしあったのならば、見たかったですね…。


新城がほぼ矢面に立たない代わり、帝国の砲兵や駒州軍の指揮官など個人の描写もたっぷりあってうれしい。
新城という劇薬があるのに、こういったところにスポットを当てて泥臭い戦が読めるのはバランスも取れてすごい好きです。
望遠鏡越しの逃避。結果として生き残れてることとか良いのです。


これで確か帝国との戦いは一応終わり。だったような。
かなりさびしいですが、損害を一顧だにしない頑健な(今回は士気崩壊してましたが)軍隊の強さをしっかと見せてくれて。
惜しいですがご退場。
これからは政治の季節なのです。