かのくらかの

かのくらかのが送るかのくらかの。と言われたい。娯楽感想日記。

ネタバレを含みます。

佐藤大輔 皇国の守護者 04 壙穴の城塞 感想

ずあっと飛んで篭城終盤へ。
メレンティンの言うように負けるほど強くなる新城はついに司令に。
頭数で言うと定数万越えから9000人と減りはしましたが。

六芒郭編は話題になると必ず丸枝いいよねな流れになりますが、
2回読んでもそれほど?でした。いや良いんですが。
果敢が重点であって配食がテーマでない点が引っかかるのかな?
どちらかと言えば夏川のほうが好きですねー好きです。


要塞戦といえど読んでいてそんな気にならないのは描かれているのが2日程度だからでしょうか。
防衛側独特の(局所的な)圧倒的優位・損害を与えている感に酔えるものの、文量はちょっと物足りず。
それより今回は恋愛小説でしたね。いろいろと。

ユーリアが新城にあそこまで惹かれるのはちょっと驚きというか、稚拙になりすぎて怖いですね。
それでも妥当ラインは割ってないんですが、皇族として支持を得ていたものが一転。
周囲から反感買うのはねー…
もう本部前進させたところなんて攫ってくださいってほどのお膳立てですわ。

怖いほど入れ込んだ冴香さんと合わさって、以降は皇都で色を好む展開です。


軍隊物の何が良いって、バディものとしていいってところがあると思う。
つまり士官と下士官の立場がある上での信頼(誤ったことをするとすぐに失われる前提のもの)。
指揮官と参謀でも同じことが言え、彼ら二人のやり取りが友情とは違った結託を魅せる。
それでいて二人とも兵には違った(まったくもって立場にふさわしい)振る舞いをし、
そこにギャップが生まれる、んじゃあないかなあ。

今までの新城・猪口、ユーリアにカミンスキィ、バルクホルン
もそういった「良い部下」とのやり取りがあって良い。(シュヴェーリンとアルターも好き)
ついでに瀬川みたいな使用人も含めて良い。
なくならない上下関係とそれ前提の友情が、軍隊や国の制度のおかげで生まれやすい。

で、今回は殊更にそれを夏川と丸枝でよく描かれていて、自分の好きなところに響くんじゃないでしょうか。

戦は満足ではないですが、登場人物描写が良くて、うーん、4かな。