かのくらかの

かのくらかのが送るかのくらかの。と言われたい。娯楽感想日記。

ネタバレを含みます。

中島敦 李陵 感想

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再読。中島敦すきすき。

時代背景の知識を知らなくても面白いです。実話ベースっぽいですが、知識無しでも大丈夫。文字数もそんなに多くないです。
単于が襲名制というか~~単于という称号だというのが初読ではしばらく「単于」としかでないので気づかなかった覚えが。

最初は少しとっつきにくいかな?いきなり出兵からの撤退戦なので、どんな話なんだろう?ってところが飲み込めなくて。
でも李陵の兵に慕われるその武名に恥じない行動にだんだん惹かれていきます。

そして場面転換して結構唐突に司馬遷の話になるんですよね。
武帝に阿る佞臣に対してさして友誼もない李陵の件について正論を述べる司馬遷
かーらーのまさかの宮刑
刑を執行され一人考え込む司馬遷のこの身から一切噴き出ることの無い煩悶。やり場の無い怒り。
人が出来ているゆえに正当な怨恨先を求めるものも終ぞ矛先定まらぬぐぬぬ
まさにぐぬぬ

あれ?主人公って司馬遷だったかな?ってなります。
結局彼は使命と形容してよいかもわからぬ何かに突き動かされ史記の執筆にのみ命を捧げることになります。
こう、かっこいい、とも違うしその境遇から憧れとも違うのですが、「凄み」がある。あ、ジョジョ5部アニメおめでとうございます。

それでまた戻って、捕らえられたものの単于に遇される李陵の話になります。
最初は国のために暗殺を目論見るものの、国の酷い仕打ちや単于たち匈奴と接するうちにだんだんと匈奴側についていって…という話。
ある意味王道ですかね。こっから祖国に響いた武名をもって匈奴の兵を率いて復讐。とか嫌いな展開じゃないんですけれど。
李陵はあくまで節度と忠を知る人物として描かれていて、読んでいて良い男だと思えるほどですね。忠君の士。
匈奴に決定的に寝返るのも国で家族を殺されたからですし、読者としてはもう裏切っても文句は言わないよ!ってほどでした。

が、ここで終わらないのが中島敦。って歴史小説なので違いますが。

第三の主人公、蘇武の登場です。
彼も匈奴に捕らえられるも、自決を行い、一命を取り留めさせられ、僻地へ無期限の追放をさせられても忠義を違えず心は漢の官であり続けました。漢の中の漢やで。

李陵は匈奴に降るように説得に行った際、なんともいえない気持ちにさいなまれます。

 最初の感動が過ぎ、二日三日とたつうちに、李陵の中にやはり一種のこだわりができてくるのをどうすることもできなかった。何を語るにつけても、己の過去と蘇武のそれとの対比がいちいちひっかかってくる。蘇武は義人、自分は売国奴と、それほどハッキリ考えはしないけれども、森と野と水との沈黙によって多年の間鍛え上げられた蘇武の厳しさの前には己の行為に対する唯一の弁明であった今までのわが苦悩のごときは一溜りもなく圧倒されるのを感じないわけにいかない。それに、気のせいか、日にちが立つにつれ、蘇武の己に対する態度の中に、何か富者が貧者に対するときのような――己の優越を知ったうえで相手に寛大であろうとする者の態度を感じはじめた。どことハッキリはいえないが、どうかした拍子にひょいとそういうものの感じられることがある。繿縷をまとうた蘇武の目の中に、ときとして浮かぶかすかな憐愍の色を、豪奢な貂裘をまとうた右校王李陵はなによりも恐れた。
 十日ばかり滞在したのち、李陵は旧友に別れて、悄然と南へ去った。食糧衣服の類は充分に森の丸木小舎に残してきた。
 李陵は単于からの依嘱たる降服勧告についてはとうとう口を切らなかった。蘇武の答えは問うまでもなく明らかであるものを、何もいまさらそんな勧告によって蘇武をも自分をも辱めるには当たらないと思ったからである。
 南に帰ってからも、蘇武の存在は一日も彼の頭から去らなかった。離れて考えるとき、蘇武の姿はかえっていっそうきびしく彼の前に聳えているように思われる。
 李陵自身、匈奴への降服という己の行為をよしとしているわけではないが、自分の故国につくした跡と、それに対して故国の己に酬いたところとを考えるなら、いかに無情な批判者といえども、なお、その「やむを得なかった」ことを認めるだろうとは信じていた。ところが、ここに一人の男があって、いかに「やむを得ない」と思われる事情を前にしても、断じて、自らにそれは「やむを得ぬのだ」という考えかたを許そうとしないのである。
 飢餓も寒苦も孤独の苦しみも、祖国の冷淡も、己の苦節がついに何人にも知られないだろうというほとんど確定的な事実も、この男にとって、平生の節義を改めなければならぬほどのやむを得ぬ事情ではないのだ。
 蘇武の存在は彼にとって、崇高な訓誡でもあり、いらだたしい悪夢でもあった。ときどき彼は人を遣わして蘇武の安否を問わせ、食品、牛羊、絨氈を贈った。蘇武をみたい気持と避けたい気持とが彼の中で常に闘っていた。

そうです。李陵の降伏は本当に「やむを得ない」と読者に思わせるのに十分な境遇からくるものでした。
そんな境遇なのに、それをも超える苦境に立っても折れない蘇武の存在。
蘇武への李陵の気持ちに、すごく共感を呼び起こされました。

蘇武酷い!蘇武なんて居なければ!と言えれば簡単でしたけど…
もうこの煩悶さはまた司馬遷のそれと根底は似ている部分がある気がします。
気持ちのハケどころが見当たらない。

そんな祖国に伝わらぬ忠信を貫き僻地で孤独に死ぬかと思われた蘇武が、何の因果か帰国を果たすことが出来たわけです。
蘇武大号泣。

そんな蘇武を見て李陵は…

李陵の心はさすがに動揺した。ふたたび漢に戻れようと戻れまいと蘇武の偉大さに変わりはなく、したがって陵の心の笞たるに変わりはないに違いないが、しかし、天はやっぱり見ていたのだという考えが李陵をいたく打った。見ていないようでいて、やっぱり天は見ている。彼は粛然として懼れた。今でも、己の過去をけっして非なりとは思わないけれども、なおここに蘇武という男があって、無理ではなかったはずの己の過去をも恥ずかしく思わせることを堂々とやってのけ、しかも、その跡が今や天下に顕彰されることになったという事実は、なんとしても李陵にはこたえた。胸をかきむしられるような女々しい己の気持が羨望ではないかと、李陵は極度に惧れた。

李陵にさしたる瑕疵があるわけでもないのに、うおおおおおと言う気分に。
筆舌しがたいので引用するしかあるまいでした。


複雑な気持ちになって面白い。

こう、中島敦の小説は、主人公は高潔じゃないですけど志はあるもののちょっとだけ折れる感じがします。
山月記はプライドが高かったものの一旦筆を置くほどには妻子を考えていましたし、虎に成り果てた後の対話からもなんだか物悲しい振り返りがありましたが、詩業に打ち込む心はままあったわけで。
名人伝の紀昌は師匠の変な修行をマジメに取り組むなるほど志がある男でしたが、魔が差し文字通り師に弓引いてしまいます。
それでも紀昌は弓に真摯だったわけで。
沙悟浄も一見哲学者に見えて俗っぽい部分があるキャラクターです。

李陵も悪人ではなく、全うな理由とはいえ志を違え、またそれ自体を恥じ入ることも出来る人間です。
ただ、蘇武が居なければそこまで居心地悪い気分になる内省はしないかな?って感じの人間にみえました。

そういった多面性というか、一本道を歩こうとして絶妙に躓く主人公たちが中島小説の魅力なのかなあと思ったりします。

転職ドラフト 第14回に初参加しました

書きたくないのであまり書かないです。機会があれば改めて。書けるような精神状態になれたらいいですね。

開催中は(今も)非常に精神的負荷が高過ぎました。
仕事もなにも手につかなかったです。
嘘ですつかなかったのは仕事だけです。

転職ドラフトは自分の市場価値を確かめることができるイベントです。
私はひどいことになるとしても、
「五個や十個指名をもらうものの、提示年俸が非常に低い」
という結果になると思っていました。
「低い年俸だなー。まあ現職より余裕で高額なんですけど
…なーんて、今思えばまたあほうなことをしていましたねとも言えないほどの予防線でした。

お前さんはそもそも年俸問わず五個や十個も指名が来る人間じゃないんだよ。

はい。
はい。

職歴かレジュメか。
まあレジュメですわいな。
お察しのとおり私、非常に文章作成能力が低いです。
人様に読ませられる文章を書く能力が決定的に欠如しております。
特に全体の構成とかがね。統一感皆無でね。読み手に優しくないよね。基本垂れ流しですし。
だいたいこんな感じの思いついたことをやや丁寧に書きなぐった文章なわけですよ。全体的ね。

だがしかし(祝コロコロアニキ出張(そういうとこだぞ))転職ドラフトの審査には通ったのでまあこんな書き方でもOKなのかなと思ってそのままお出しした結果なのでやむなし南無。
技術力…もないんですけどね。あれば文章力いらないとかないですないです。

それともあれか?水の方が大事にしたのがいかんのか?

zine.qiita.com

それとGitHubやQiitaなどのアウトプットに目を通されている企業は多いです。マイページに載せてもらったQiitaのURLを拝見したんですが、アウトプットをかなり積極的にされていますね。きっと企業からも評価されると思いますよ。

転職ドラフトでは見たかどうかが通知されるのですがほとんど見られませんでしたー。
片手以内でした。

転職ドラフトの審査もレジュメが薄かったとしても、QiitaやGitHubにしっかりアウトプットされていれば審査通過としていますからね。「Qiitaにアウトプットをして転職ドラフトで市場価値を確認する」というのが当たり前の世界になればいいなと思っています。

レジュメバイバイを経験したのでここは信じないというか、アウトプットあってもレジュメを厚く改善する指導くださいといいたくなった。

この記事は見なくていいです。私も読んでないので。

zine.qiita.com

これは僕の会社の場合になりますが、『GitHub』や『Qiita』、『技術ブログ』いずれかのご提出をお願いしています。この3つがない場合は、『Twitter』アカウントを見せていただけないかを相談していますね。

この採用手法を取り入れてみて分かったことが、8割程度の方々が3つのうち何も行っていないということでした。

うるせー
転職ドラフトという場所柄からして一般市場より質は高いことを差っぴいても
なんか
こう
もってるだけじゃだめで
ちゃんとしたもの作ってなきゃだめで
そもそも現職のプロジェクトが有意義じゃなきゃだめで
お作文もお上品にお作りあそばせねばならない気配で

精神的にくるものあるよってもう開催中からずっと心のちゃんみおがダミ声で連呼してるんですよ。夢幻のごとくなりですよ。(投稿前に調べたらゆっこだったんですけどどうでもいいわ)

心の中の住人はもう一人いましてその中将は「戦いは数だよ兄貴」って言うんですよね。
仮に一千万円の指名をもらっても(もらってない)指名がその一件だけならガチへこみですよ。

いやいやいや、こんなのはね、自分をさらけ出してスルーされるのなんかはね。創作畑ではあたりまえですよ。しらんけど。
コミケで見本本パラパラありがしたーとかね。しらんけど。いくつかの漫画でそんな描写あっただけで。しらんけど。
あれと一緒ですよね。凹んではいられませんよね。
買われるのが社会人としての私人まるごとって点を除けばね。

どうして差がついたのか…慢心、環境の違い
いらん…いらんかー。私、いらんかー。
レベルは…そりゃ低いで。低いでってヒグイデみたいだね。人形の国読んでないの思い出した。

んーあーこれ以上は換骨奪胎じゃなくておんなじことの繰り返しだから終えるんだけど。書いてておえおえしたい気分にもなってるんだけど。

他の文章書く気もないし、心情の大きな揺らめきも記録対象になるって前回なんとなく決めたしで暗いことも書いていくとわりかしたーのしーとサーバルちゃんを偲びつつフリースタイルで書きなぐった。
転職というダンジョンからは脱出できるのか?ビーフはしたくない。ビーフを食べられるお金が欲しい。そういう人に私はなりたい。

ってレジュメをもっと読みやすく書き直すつもりがやっぱり人様にお見せできない文章書くのが楽しすぎて不安すぎる。

優秀な人はリファラル採用とかいう流れが加速しませんよーに。いやいややはり正鵠を得ているデショ?

Qiitaアカウントもこっちと紐付けて名前統一するか悩んでいましたけどお見せするに値しないと判明して前向きに検討させていただきます。
もこっちの進学は楽しくなりそーなのになー。
私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!
おっ上手くまとまった。

はい。ダークサイド堕ちしているので精神があれでこれでカンカンだからドロンさせていただきます。

退職しましたエントリかけるのかい?

白鳥士郎 りゅうおうのおしごと! 05 感想

いやーいい最終回でしたね!
これにてりゅうおうのおしごと!完結です!


マイナビ本戦と竜王防衛戦で迄360ページ。おもわず「たっぷり!」と掛け声を出してしまうボリュームでした。


ハワイ

天衣ちゃん羽生られて可哀想なんですけど!!
「一門」の中に終ぞ含まれないのが微妙な立ち位置すぎて…そういえば一門歓迎会もうやむやでしたっけ?

ハワイということで何度かダイヤモンドヘッドの単語が出て、目次にもダイヤモンドとあったのでまさかダイヤモンド美濃でもだすの?
っと予想しましたが、見事に外れました。デスヨネー。

清滝Pは新田さんか…。新田さんが段級位資格取得するコラボくるです?

とまあ楽しく過ごしていました。
特に会長の出番が増えて硬軟併せ持つキャラがよく出ていて好きです。

姉弟子もですね…今回は水着パーカーという武器でしたね…単語単位で喋るのがグッとキますね…前回まではまだ負け戦ムードでしたが、もしかして本当にレースに勝つのでは?と思い始めました。

将棋のほうは、今回もよく分からないのですがあっさり負けました。
初戦ぐらい勝つと思ってたんすけどねー。逆に初日の観光テンションからの落差が辛い。

第二局

天衣ちゃん可哀想なんですけど!!
本当、相手しなさすぎていておじいさんから「末永く」とお願いされますけれどそれ幸せなの…?
たぶん会いにこなかったのも八一のためを思ってなんでしょうね…

第三局

ここまで対局がわろしわろしで三連敗。
もっと善戦させると思っていたのですが、思っていたよりも作者は落としてきましたね…。
今までは内容はともかくその才能は様々な人から認められてきたので、熱い接戦を描くかという予想は大きく外されました。
そしてさらに八一はどん底に落ちていきます。
この展開から気持ち的にも挽回方法ないのでは?と結構ハラハラしました。
あいとも別れることになるんですけど…マイナビ本戦にも付き添わないことになってしまって…
盤外で拒絶される天衣お嬢様可哀想なんですけど!!

あとさらっと姉弟子の防衛流されてました。竜王戦と被るのかあ。

マイナビ本戦

八一不在なのにあいちゃん気にかける天衣お嬢様お優しい!!

そんなあいは月夜見坂に負けるんですが、これもメンタル面の影響が大きかったってフォローですか?
まだまだ強さの上限が見えないんですよねー。
八一にはあっさり負けますけど、好調なら対月夜見坂戦はまた違った形になってたのかなあと。
そんな月夜見坂側からもまた八一の才能を認められる部分が出ます。
忘れがちですけど、すでに誰もが認める実力者なんですよね。なのに凹みすぎなのか、だからか。
自分を卑下しすぎると他の棋士の立つ瀬もないですね。本人にはまったく関係ないのですが。

で、さらに天衣ちゃんは予選に続き八一のためにがんばっているんですが…
彼女の口から銀子に対しても「同門」という言葉が出るのが泣けます…
女流棋士申請すらあいに譲るもん…そんなんできひんやん普通…
同時に勝って順番譲るならまだしもあいちゃん負けてますからね…

天衣お嬢様、盛大に報われて欲しい!そう思ってました…まだ…

対釈迦堂さん編

7四に打つか9四に打つかで勝敗がガラっと代わって、かつ八一はそれを見抜いていて、タイトルホルダーの釈迦堂さんがミスをするっていう状況。なんですが、毎度のことなんですけれどリアリティがあるのかよくわからないです。
釈迦堂さんがこの対局を大切にしている理由も不明ですし。
全局全力なら毎局リゼのストレートにならなイカ

とはいえ。釈迦堂さんにの「大切さ」は彼女に対してではなく桂香さんへのものだということは投了からわかりましたけれどね。
登場二回目とは思えない良い先駆者ポジションですね。

残りのモヤモヤもインタビューでチャラでした。
そうかー桂香さんがキーパーソンかーとこれも意表を衝かれて、終始作者に翻弄されている楽しさがありました。

それはそれとしてお世話するゴッドコルドレンはよい。心が中二になる。


で、それから八一は強い衝動で皆に会いたがるのですが…

桂香さんだけじゃない
俺の部屋を訪ねてきて、俺の力になりたいと言ってくれた姉弟子。
そして誰よりも健気に俺のことを思ってくれていた、あい。
今すぐ会いたかった。
会って謝りたかった。

あのっ!天衣お嬢様は!!!???
いや、そりゃ、顔は出さなかったですけれども、そーいう形の「支え」なわけで。
清滝師匠が挙がらないのは良いとしても弟子を持つ師匠としてこれはどうなのですか。

天衣お嬢様可哀想!!

第四局

はい、もう清滝一門として当然のごとくお嬢様は含まれてませんのですが、
大盤解説ということで山刀伐&鹿路庭コンビが登場しました。
鹿路庭さん前巻で好きになったので登場はうれしく、掛け合いも面白かったです。
山刀伐さんの同性愛ネタはロリコンネタぐらい苦手なので、彼もこういった方面で魅力を出してもらえるとうれしいですね。

あとやっぱり会長がノリノリなのも好きなので、前夜祭はハワイより好みでした。

で、もうここまできたら無理やりなんでも天衣と絡めるんですが、あいのお母さんとのやり取りで「末永く二人で」というお願いが出るんですよね。
それへの反応自体は書かれていないんですけれど、これ第二局で天衣のおじいさんが言ったセリフとほぼ一緒なんですよねー…セリフまでの展開格差がおかわいそう。

名人戦

ということで、後は熱く突っ走るだけでした。読む側も一気読み!
想像の中で一応天衣も出てきた!(しつこい)
しかもエンジンかかり出してから100ページほど残してましたからね。
対局の熱気、周囲の熱気までも伝わる名勝負でした。

終局直後の名人のインタビューに対する「大駒一枚強くなれた」は「心の角道開けていこうぜ」に続く名言ですね。

ただ、このセリフは今調べたらよくある言い回しのようですね。
ひふみんは握手するだけでもと言われております。

加藤一二三の魅力 − 証言

そしてラストシーンはあざと過ぎるほどのあざとさ。
もう言うことないんじゃないですか?

観戦記&感想戦

まさかこの作品で叙述トリック?食らうとは思ってもいませんでした。
私はてきとーに鶫(つぐみ)と読んでいましたが…アニメではどうなっているんでしょう。
名人も徹底して描写を減らされていて、それが最終局面での効果的な演出に繋がりました。(まあ名人は羽生さん重ねればだいたいよさそうでしたが)
なので、感想戦を含めて思いもよらず「小説を読んだなあ!」と良い読了感に包まれました。
ストーリーやキャラではなく、ある意味盤外戦術な小説という部分に完敗した気分です。

しかしずるい…作者ずるいよ…


と、いうことで名作5つ星。
天衣の扱いや女性陣との棋力差等小骨はあるものの、熱量で押し流したかのような。
続きが読みたくなくなる珠玉の出来でした。

…でもねー!やっぱり天衣の扱いは許せんでしたからねー!登場巻からほぼひたすら放任で報いてなかったですからね!続巻でもうちょっとフォローして欲しいですよね!
それを期待して読みますよ!
今までは既刊の表紙飾ってなかったので不安でしたけれど!最近でた9巻が二人のツーショットなので!
少なくとも!9巻までは!

白鳥士郎 りゅうおうのおしごと! 04 感想

イカちゃんかわいいげそ?
イラストはメガネバージョンのほうが好きでした。

てなわけでマイナビ女子オープン戦デス。
女流大会なので今回も新キャラがいろいろ出てきて、姉弟子ががんばったりと華やかでしたね。
男性棋士の渋い感じも好きなのですが、今回はほぼお休み。

祭神雷

途中ヒカルの碁の単語が出ましたしネット将棋つながりということでそこらあたりをサイの字にかけたんでしょうか?神の一手で神の字までも??そこからなんでイカ娘!?なんてね。

ですが、祭神雷。今までの女流タイトルホルダーは全員結構好きでしたけど、このキャラはあんまりピンと来なかったですねー。
ぼんやりしてます。予測不能なキャラだとは理解してますが。
彼女の望みが八一と将棋(しつづけることが)できたら(強くなれるから)いい。
なんですけど、じゃあ超自己中心的な彼女がそれへ向けて最短距離で八一へ迫っているわけでもなく、名人含め他の人に迫ったりせずに理事会の言いつけ聞いて接触を控えたりこうやって女流で指しているのはなんなんだろうね?と不思議に思ったり。
究極のエゴイズムと称されていますが、行動はさほどでもないのでは?
っと気になっているのかもしれません。

なので、対戦相手としてもちょっと燃えなかった、かな。
芯を外しているので盤外戦術のセリフもろもろが小悪党の域を抜け切れなかったです。
ここまで来るとあの対局は狙って書かれたものな気もしますけれど。
あい相手なのも空振り感があったのかもしれません。あいちゃんメンタル強過ぎです。

鹿路庭珠代

わかりやすく裏がある、まっすぐなキャラで好きです。
あ、そうか。もともとそういうキャラが好きで、イカちゃんがふらふらしてるから微妙なのかなって書いてて思ったり。
うっかりすると小粒なかませ犬で終わりそうでしたが、次巻での活躍含めて昇るための努力をしているというのはとてもよかった。

あれですかね、ごくたまに見る野球などの実況で元プロが下手な解説しているとムズムズしてしまうフラストレーション?に対して業界を見据えて司会業にも研鑽を積んでいる姿がよい。
「将棋さえ強ければ」というのは是だったり非だったりで、今回の祭神雷には釈迦堂さんが非と言っております。
とはいえ強くなければ…という部分で両輪に全力を出していると明言されたキャラだから。といったところですか。

そういった部分を間を空けて書かれているので、いろいろ美味しかったな。

ビジュアルはもっと厳しい顔がよかったです。逆に言えばここから崩す余地があります。デスノートのキラのような顔の落差が描かれると個人的にうれしいです。(小畑さん関連になってしまった)

(ものすごくもったいないのですが、一番いいシーンであるはずの「けどね? 私、辞めないよ」のシーンでハッシーの物まねが浮かんでしまって…単語の構成がピッタリなのが悪い!)

桂香さん

時期が空きましたが、たしか前巻でも苦言を放ったような…
今でも桂香さんはプロの道を絶たれてほしいと思っています。
でも、まあ、上手くどん底から成功する道もまあまあ許せる(何様)とも思っていたのです。
ですけれど!前回あんなに苦悩した道が途切れるという部分を、今回はぽっと出の香酔千というキャラにおっかぶせてしまいました。
「棋界には取り返しが付かない厳しい現実がある。だけどそれはそれとしてメインキャラクターにはその道を歩ませないよ」
っという風に読めてしまって、スケープゴートですよねえ。
代わりに桂香さんには仲間に止めを刺すという苦行が科されたわけですけれど、読者が思い入れの無い初登場キャラクターを代わりに引退させるのならば安いものですよね。

サブキャラクターは物語の世界を広めますし、棋界の様々な面を描けると思います。
メインキャラクターが出来ないこと。すごいこと悪いこともさせられます。
だけどメインキャラクターにさせたくないことを代わりにさせちゃ微妙かなあ。と。

というのは桂香さんが弱く負け続けるストーリーが見たいというただの一読者の願望なので、なので…
そう受け取ったとしか言いようが無いだけですね。

地の文で活躍が約束されたので、以後は才能開花ルートを楽しみます。

釈迦堂里奈

えーっと、まあ歩夢くんが好きなので女性版ということでよいです。
足が悪い、というキャラ付けはすごく便利だということを、平行して読んでいる彩雲国物語の鄭悠舜ともども感じます。関係ないですね。
本人だけではなく回りの人の描写を引き出したり飲み込ませる何かがあるというのはよいです。
将棋特有、でもないですけれど、正座との関係性があってよりよいですね。

っとよいよいよーいのキャラなのですが、タイトル保持期間だけでも20年近くということで、比較的高齢なのです。
一方ビジュアルは若いので、読んでいる最中に脳内でおばあさんになったり20後半ぐらいになったり、ハウルのソフィー現象に一人苦しみました。
歩夢くんとの絡みの美しさを際立たせるならもっと老けている方が私好み…

ゴッドコルドレン

彼とは関係ないですが、彼と八一の研究会シーンは、ああいうのはあまり好きではありませんでした。
実話を元にしたのかはわかりませんが、少しファンタジー度合いが私には過ぎたかな?

これも関係ないですが、名人の悪手シーンもちょっと説得力に欠けるかなーって。

彼は好きですしポテンシャル高いと思うのですが、将棋シーンで完全に活かしきれていない気が。
今回はそこを師匠との絡みで補えたのはよかったなあ。というのは銀子にも同じことが言えます。

銀子

だんだんと将棋以外は最高のキャラになっているような…
いいぞもっとやれ!由緒正しい?ツンデレだ!
などと供述しており拍手喝采しているもようです。
ちゃんとデレた後に肉体攻撃ありの怒りシーンがあるのが王道ですね!
ある意味八一がまっとうにどきどきできる相手なので、そこらへん含めて応援していますよ!
今回は衣装でしたが、今後無理やり引っ付けるイベントアイテムがあれやこれや出てくる展開も吝かではないです。
今まで将棋の部分でいろいろ不安定でしたが、今回でひとまずかわいいの大黒柱を打ち立てられたかと。
どうもあいへの意地悪と男女棋界の違いの橋渡し的役割が多かったので。
タイトル戦まで描かれれば将棋部分の魅力も出せるかな?

感想戦

棋士のお金てぇのは難しいものがある気がします。
高校生前後の一般的男主人公がたかられまくる展開もうーん…ですし、
狼と香辛料でロレンスがわりと散財していたのもうーん…でしたし。

その点棋士の主人公となると畢竟才能もあり対局もたくさん勝つので資金は潤沢です。
3月のライオンでもがっぽり稼いでますが、庶民的な暮らしだったりイジメのときは金に任せそうになったりしてました。
感想戦で懐事情がちょいと垣間見えましたが、じゃあポンと出してあげれば?と怨嗟の声が出ました。
しかしじゃあと高級マンションに住んで良い服着ておいしいものを食べていれば(お話として)いいわけでもないので、塩梅が難しいですよね。
お金のにおいはさせず、かといって面白くなる部分でお金を惜しまない(食事や移動手段や友人同伴)ことにしておけばいいので都合はとても良いんですけれどね。

結論、金を誇らず金に悩まず行動に対して大盤振る舞いしてくれていれば良いと思います。
現代もので若い主人公かつお金持ち、というのは貴重なので、どんどんステーキやきゃにを食べればいいんじゃないでしょうか。

でも着物を惜しむ姿はくずいぞ八一!


(真面目な部分の)解説部分と鹿路庭さんがよかったです。
将棋って将棋を知らない人でも楽しめるように解説やおやつタイムを押し出している印象がありますが、今回も解説のやりとり部分がよかったのです。

あいと天衣は今回も終始安定していて、特筆しづらいのですが、ちゃんと可愛いので。
まだまだ才能で押し通す二人の今後も気になりますね。

次巻はマイナビ竜王戦にと転機になる巻で期待です。

映画 聲の形 感想

いよいよ地上波ですね!
放送に備えて予習としてみておきます!…?


いやー見る気は全然なかった。
だって小学生時代乗り切れるわけないですし…
あんなの動画でやられたらと思うとなかなか見る勇気わかないデスヨ?

監督はユーフォの山田尚子さんということで期待はするも過剰評価はしないぞと意気込んでいましたが…

はい、面白かったです。

2時間と長めの映画でしたが、原作と同じく緊張感があるせいか道中ダレることなくずっと面白かったです。

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再会時のこの間の補完で、高校編も大丈夫だと確信しました。1

懸念の小学生編

すっごく「おもしろく」描けていました。
テンポもそうですが、音楽も合わさって愉しかった!
最高に面白くグサグサしてくれて、アニメ化してくれてありがとよ最悪の気分だ。ってものです。
この部分を(西宮にとって)悲壮なシーンで描かれたら違うなあと思っていたので(まずないでしょうけど)一安心でした。

転校直後のシーンも丁寧に描かれ過ぎて辛い…。

結絃かわいい

原作でも一番魅力ありましたが、なんか盛られてるような…?
可愛過ぎてこれ彼氏って誤解するの無理なのでは?ってずっと思ってました。
声も悠木碧さんなんですね。最近なんでも上手くこなされている気がします。

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(余談ですが全編面白かっこいい映画版永束くんのここの「落ちるなよ、少年」が最高にかっこいい)

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結絃のどうでいどうでい

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これ原作でトップクラスで好きなシーンです。…なんで?2

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動いてる!

結絃の写真剥がすところも削られるかな?と思っていたのであってよかったです。

残念なところ

良いところは大体拾われているのですが、それでもこれも入れて欲しい!ってシーンがが。欲張りになりますよねー。

石田のための行動

たとえばお姉ちゃんの彼氏を変えるシーン。
それと植野の諸シーンが削られたのは痛い!

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特にお姉ちゃんはこれでだいぶキャラが削られちゃった…3
この二人は個人的に石田と同時並行に主人公ムーブしているキャラとしてみていたので4、対石田向けの行動が削られたのは悲しい。

あとは単純に植野が好きなので初登場?再会シーンとかですね。
あのわけのわからなさが大好きなので、ネコミミつけるまでの間を動画で表現されてほしかった。

病院の完璧な敗北者ムーブとかとか…キリがないのですけれど。
っとまあ植野はかなり割りをくらいましたが、差っぴいた映画でも良キャラなので強いですね。

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石田よりよっぽどストレートに謝罪していたのですが、×とれない植野さん。
映画よりもっとめちゃくちゃがんばってかつ伝わりきらないのです。

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ここの「おかえりー」は上の「ごめんねー」の言い方なのかなと思ったり。

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不審者なおちゃん

声が聞こえないシーン

原作では、でも?西宮に聞こえないことを利用したシーンがいくつかあって、それが好きだったので欲しくはありました。
西宮さんは完全に声が聞こえないわけでもないのでちょっと狙い過ぎか不自然かもしれないのですが…

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(幸せだったはずの小学生時代は戻ってこないと言われた図)

こっち↓は特に二人がショーちゃんである理由ですし、結絃との転機ですし、締めとして好きだったので。

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(二人ともショーちゃんだけど将也にだけ届いて振り返って西宮に気づくシーン)
地味ですがショーちゃん呼びは佐原さんとの再会シーンに転用されてましたね。
ここのショーちゃんは西宮向けだけど気づくのは石田と。

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ついでに結果的に西宮母のシーンも減っちゃって、ちゃんと魅力が伝わるかも他人事ながら不安ですね。

原作既読組としてもったいなかったところ

川井さんと真柴くんを警戒しすぎた!!
いつ見限られるんだろうか本性でるんだろうかとずっとビクビクしていたのですが、尺の都合からか二人とも善人で終わりましたね?
原作が善人でないというわけでも…でもないか…比較的波乱なく終わったので、身構えずに気楽にしておけばよかったです。
さすがに文化祭のときは若干引き笑いぎみな複雑な心情になったんですけどね。ええ人らや。

そういえば永束くんのハリウッドTシャツも原作未読ならよくわからない変Tですね。

石田ァ!!

石田がメスっぽい!!
これは当時の感想をチラ見していて知っていたのですが、思った以上に色っぽかったです。
女性っぽいというか、女性が描いたキャラという印象が強かったです。先入観?

小学生時代の最初の歩くシーンで、たぶんウキウキグニャグニャウォークだと思うんですけど、色気がある。

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笑顔かわいい。

高校生になっても、たぶん石田のナヨナヨとした気持ち悪さを表現してるはずなんですが、画風と相まってメスい。

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「泣かないでよ西宮…泣かないで…」って声色が映画版石田くんの特徴ですね。
原作ではまだ楽しかった小学生時代というか、男の子の青年っぽい部分が顔つきや言動へ多分に含まれていますが、映画版はかなり弱っている気がします。
原作が 自己嫌悪>いじめられたこと に比べて映画が いじめられたこと >自己嫌悪 って感じかな?
より卑屈な人間っぽい。
声がキャラを規定するって部分もあるのかなと。

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西宮の声について

よかったです。とっても。
映画になった価値があります。
ちゅきとかもね!

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なかなかセンシティブな部分ではありますが、彼女の声を聞いて笑っちゃうことがあっても、それはかなり「アリ」なんじゃないかなあと思いました。
難しい部分なので。多分に笑えるよ。
まあ映画館で見ながらだったら他の観客的にまた見方が変わるというか、笑う に笑えないでしょうが… 全部含めて好きでした。

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このシーンは卑怯すぎました。
(と同時に西宮家3人がほぼ同時に土下座したことになってしまった)

総評

小奇麗にまとまりました。

映像は文句なしにきれいで、男性含めどのキャラも、ものすごくかわいらしく表現されています。
それは絵だけじゃなくて、性格も。
各キャラのエゴイスティックな部分がちょっとだけ削られて、とても綺麗な仕上がりでした。
ビンタや掴み合いのシーンもまろやかになっていて、原作を読んでいるともの足りないものがあるかもしれません。
でも、それと引き換えにこの可愛さや綺麗さ、エンディングまでのまとまりが得られるなら、全然アリだなと思います。

音作りも水中や雨や花火など、普段より意識したかもしれませんが、よくできていました。
あとセリフですね。文中でもいくつか触れていますが、こうやって振り返ると映画オリジナルの部分が結構心にのこっているのだなあと気づきました。

そういう泣けるシーンも3,4個ぐらい?もっと?全部嵌められてしまって、しかも声が付いていた影響が大きかったので…
なんていうと衒い過ぎ狙い過ぎですけれど、アニメだから生まれる魅力もあふれていて、映画になってよかったなぁと思います。

この映画も何度見返しても泣いちゃうものになるでしょう。
本当に見返すのは辛いんですが、乗り切る価値はあるので。みんな見るべし。


映画で一番(もの)足りなかったもの。

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西宮母は見ていて一番面白いので、特典OVAとかでもっと見たいですね。 f:id:kurakano:20180823200039j:plain 二人の酒盛りシーンを固定カメラで。とか。

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gifで見るとそうでもないかも?音がちょっと柔らかめでした。
やっぱり顔かな?あの顔とアングルが好きです。


  1. 変顔分も少なそうだと思いました。可愛い。

  2. 泣いてるところ見られていたことに気づかない。からの気丈な振る舞いと単純に面白い動きだとかその辺で

  3. ゆるく見守る存在が顔が見えない、というとおねえちゃんにも当てはまりますね。前回書いたペンギン・ハイウェイのお父さんの顔が見えて欲しくない理由と同じです。

  4. 植野は作中で石田に同じことしてるって分かられてますけど

森見登美彦 ペンギン・ハイウェイ 感想

ペンギン・ハイウェイ (角川文庫)

ペンギン・ハイウェイ (角川文庫)

セーフ!!
来週映画公開かと思っていたら今週でした!!

はい。
二度目です。

最初はーもう6・7年前かな?
いや単行本で読んだから8年前?

当時はまさかまさか、あの腐れ大学生に年をとらせたような登美彦氏からこんなジュブナイル小説が飛び出るなんて!!!!!
っと驚くとともに、しっかり氏のエッセンスが濃密に行き届いていて。オモチロイ。
一気に登美彦氏の作品の中で一番好きな作品になったのでした。

で、本当に好きな作品特有の現象として大事に封印してきたのですが…
このたび映画化ということで、感想の嵐にさらされる前に、今一度新鮮な気持ちのうちに読み直そうとあいなりました。

氏は氏の作品を子供として扱ってますが、まさに子供のアオヤマくんが主人公の今作。
とにもかくにも彼が大好きなのです。

アオヤマくんはかしこい。しかも私が好きなかしこさだ。
子供がかしこい・天才というと、江戸川さんちのコナンくんみたいなのを想像しちゃいますが、
「子供なのに大人のように考える」子供はあまり好きではありません。
アオヤマくんは「彼が彼自身の努力によって得られる知識と想像力で物事をよく考える」のです。
子供らしいかしこさ。
あああああ
こんな説明じゃ1%も伝わらないのでもどかしい。
アオヤマくんは知らないことを知っているし、想像で補うことができるうえに想像であるということをことわれるし。
うううううううう
そして何よりおっぱいなんです。
いかん、言語化できない。
アオヤマくんの客観視っぷりはすさまじくて、でもそれはアオヤマくんが天才だからじゃなくて、
アオヤマくんのお父さんに習ってノートをちゃんととったりする積み重ねがあるからで、
一方でおおらかなお母さんの愛もあって、
ただ勉強できるだけじゃなくて、相手の側に立って考えてみることもできるし、相手を尊重できるし、
どんなにそのときの気持ちをノートに書いても、読み返したときに本当に同じ気持ちにはなれないと知ったし…
おっぱいが好きだしお姉さんが好きだし夜更かしはできないし…

いったい何を言えば良いんだ!読書ノートでも取っておけばよかった!

そんな、とにかく、純真すぎるぐらい純真でかしこいアオヤマくんなんですが、それでもこれは登美彦氏なんだなあと感じるんです。
登美彦氏のなんだか純真な部分がぽんと飛び出たような。
氏の子供の頃では決して無いけれど、氏の子供の部分、みたいな?
現実味があるリアルな子供描写ではないんですけど、何か懐かしいような、読んでいるとぽわぽわぴゅあぴゅあな気持ちになるのです。

そして対になるようにアオヤマくんのお父さんがいてですね。
彼はアオヤマくんに考え方を教えるんですよね。夜にはカフェに迎えにいったり、二人でドライブしたりもします。
お父さんは直接答えを出そうとはしないし、アオヤマくんもまた直接質問はしません。
二人は考える。考える。
そんな、アオヤマくんが行き詰ったときにちょっとだけ手助けをしたり、いい刺激を与え続けるお父さんは、
彼があってアオヤマくんがあるんだなと思わせるようなかっこいい人なのです。
あとこれは勝手な妄想なんですが、彼を映像化するときは顔(とくに目)を写さない感じが似合うと思っています。
脳内映像も常に影が射すか鼻下までのカメラワークでした。アオヤマくんが子供だから自然と脳内視点も低くなっているのも影響かな?
それ町」の嵐山夫妻的なアレでどうでしょうか?
(このイメージも映像化見たくない理由だったり)
えーっと…それで、彼もまた、登美彦氏です。
登美彦氏の大人な部分だと思っています。放任、というと言葉が悪いですか。
見守りのその目線が、登美彦氏が自分の作品を語っているときのような温かみあふれ満ち溢れるものなのです。愛だよ愛。

「私は平気ですけど。お父さん、心配になることありません?」
「もちろんいつも心配していますよ。しかし、もうそんなことはあたりまえになってしまって、心配らしい心配とも言えないな。そういえば、息子は今、手強い問題をかかえているそうです」
「知ってます」
「でも、世界には解決しないほうがいい問題もある」
「そうかしら?」
「もし息子が取り組んでいるのがそういう問題であったら、息子はたいへん傷つくことになる。私が心配するのはそれだけですよ」

あーかっこいい。そう、ここだけじゃなくお姉さんとの何気ない会話も良いんですよね。
「父」だけじゃなくて「大人」としての部分を引き出す意味でお姉さんはすごい。
そんな影に支える父も、肝心なときに家を空けてしまいます。
ああこの心細さなんて!!

アオヤマくんとお父さんのロードムービー小説とか書かないかなあ!

(このちょっとかしこいこどもと優しい尊重してくれる大人たちという構図は「ぼくのなつやすみ」的であり、こっちも大好きです)


はい、えー、なんだ。
まだアオヤマくん周辺書いてない。
アオヤマくんは非常にかしこい小学生ですが、周りもちゃんとかしこい。
ウチダくんも、ちょっと控えめだけどちゃんとかしこい。ブラックホールや死など、不安と戦っているになるようなものを見つめ研究している姿にはアオヤマくんより共感しやすいかもね。恥ずかしくてノート隠すところとか。
そして、なによりもですよ?
おっぱいのことを考え公言してしまうアオヤマくんを諭すことができるのです!!かしこい!!
プロジェクト・アマゾンは<海>研究より好きだったりします。

ハマモトさんもかしこいですよね。
チェス少女!から<海>の綿密な研究と、アオヤマくんの良い好敵手です。大好き!
彼女は3人の中では一番子供、な部分?を使うというか出てくるキャラですね。
お父さんのことを話したり、怒られたり、スズキ君に対する態度だったり。お姉さんを疑ったり。
女性だから、じゃないアオヤマくんとは違う一面があって、好きです。

スズキ君帝国皇帝もですね、最後に見せ場がありましたね。
嫌に見える人間であっても、人は一面だけではなくいろんな面がある。
そんな風に言及されていたのは四畳半の城ヶ崎先輩でしたっけ。
金閣銀閣もそうですね。スズキくんはこっちよりかな?

ただし、おしっこかけるのはやりすぎだゾ。


はい。
ストーリーの雰囲気について。
夏休み独特の熱気と気持ちよさに満ちているんですが、ところどころで不安、であったり恐怖、であったり、そういう雰囲気が流れて、ちょっとだけホラーっぽいです。
ジャバウォックは不気味だし、お姉さんの不調は本当に不安で悲しいんです…
再読だから結末は知ってるのに、やっぱり何かチクチクと胸が刺されるのです。

 そのころ、街にふしぎな噂が流れているのを母が教えてくれた。郵便ポストや自動販売機が消えてしまった話。バス通りにならんでいる街灯のランプがいつの間にか消えていたという話。ほかにも、図鑑にのっていない大きな鳥が高圧鉄塔に何羽もとまっていたという話もあったし、夕暮れに給水塔の上で猿みたいなケモノがおどっているような影を見たという話もあった。夜、白っぽい魚のようなトカゲのようなへんな生き物が集会所の前の路上を歩いているのを見たという話もあった。

ここの猿のくだりが本当に怖くて嫌です…
遠野物語やしっぺい太郎など、猿の話はかなり苦手です…
踊りといえばぬ~べ~のしょうけらも怖かった。

「どうしたんだろう、私」
 お姉さんがつぶやいた。両手で顔をおおうようにした。
「へんなことばっかり。真夜中になると、私の家から生き物が森へ出ていく。ぬれていて、ぺたぺた四つん這いになって歩くの。気味の悪いやつよ」
「ジャバウォック?」
「わからない。いつも私は眠ってるから。出ていった気配だけわかるの」

いやー怖い。私に出来るのはがんばってお姉さんを励ますんだ!とアオヤマくんを応援することだけです。


チカレタ。
最後にラストとその後。
ラストはもうしゃーない。です。のです。
受け入れるしかないのですが、でもあんな形で迎えれたのはよかったのです。

でもですね?
このお話でアオヤマくんは何が出来たんだろうと考えました。

アオヤマくんはなしえました。
いろいろな研究を平行で進めて、完成したり解き明かしたり途上だったりします。

アオヤマくんは守りました。
お姉さんとの解明や海辺の街へ行く(はまあややとしておきましょう)約束。
ヤマモトさんとの研究の秘密の約束。
自分自身との約束も。彼は怒らないと決めたので怒りませんでした。ちょっとだけ泣いちゃったけどね。

アオヤマくんは成長しました。
大人になるまで三千八百八十一日から三千と七百四十八日まで。日々アオヤマくんは成長しました。

でも、でも。他にいったい何をすればあの結末は回避できたんだろうか?と考えてしまいます。
アオヤマくんが研究した結果のあれが最善だったとは思いたく、というか。
アオヤマくんは前を向いているのに一人だけ勝手に後ろを向いてしまいます。

アオヤマくんは最後、きっとすごいエネルギーを得ました。ペンギン・エネルギーなんてめじゃないものを。
私もさびしいけれど、それでいいじゃないかと受け入れるようがんばるのです。


なーんてお話はアオヤマくんがお姉さんが好きなまま終わります。が!
アオヤマくんは普通に結婚して欲しいなー。とも思います。ハマモトさんならなお良いけどね!
お姉さんへの気持ちは変わらずとも、それでも愛され受け入れお父さんになるアオヤマくんが見たくあります。
そしてアオヤマくんがあの時のアオヤマくんのお父さんぐらいになったとき、アオヤマくんの息子があの時のアオヤマくんの年頃になったとき。
あのときのままのお姉さんと再会して。
どれだけえらくなったか見当もつかないぐらいすっかり大人になったアオヤマくんだけれど、二人の会話を小説文として表現すると、あの時の日常の一場面をそのまま切り取ったかのようなものになるんじゃないかな。
なんて想像するのです。


ということで、圧倒的五つ星。個人的殿堂入り作品は二度目もたいそうオモチロかった。
この作品は「ぼく」「おっぱい」「ぐんない」で構成されています。とても良い本です。
小説でもアニメでもいいので、大勢に広まるといいなあと思います。

ではでは。ぐんない。

佐藤大輔 皇国の守護者 09 皇旗はためくもとで 感想

はぁ~…
あのさぁ…

蓮乃さんの新城への支離滅裂な言動や振る舞いも、保胤への一種の裏切りでもある新城へのお気持ちも。
全部ひっくるめて彼女の出来た人の良さが何とか手綱をぎゅっと握ってつなぎとめて彼女を良人せしめていたわけですよ。
つまりは自制できていたってところが重要なんですが、開幕あの始末ですよ。
最大の矛盾にして問題点ですよね。
新城は…まあ…自分を騙し通したと見ればまだなんとかですが、蓮乃はすべて諒解済みですからね。
一気に好感度が地の果てにまで堕ちて最期も悲しむ気持ちが一切わきませんでしたよ。
再読となると覚悟は出来ていたんですが、忘れていたということも相まって一度の誤りというわけでもないところが最高にBAD。
ストーリー上の役割としては重要な彼女ではありました。
彼女と新城の出会いが物語の大きな転機で、別れもまた大きな転機になりえたんでしょうね。たぶん。

思えば男くさいこの話も、女性はなかなかにターニングポイントでした。
まず蓮乃がそうであるし。しみじみ一巻冒頭を開くと麗子もそうなったのでしょう。
佐脇くんの致命傷は婚約者でしたし。
草浪道鉦の心の楔は長康でありましたが、逆鱗は妻の明野でした。
守原が明野の扱いを誤らなければ、少なくともあのような最後の行動には走らなそうな人物でした。
そもそもここまでの苦境に立ったのはユーリアですし、ユーリアの女性性は帝国でも人々を動かしてきました。

両性具有者も作中ではほぼ女性として書かれていましたし、
彼らは女性の絶対的な忠誠面を書きたかったのかしらん?
よく出る蓮乃もユーリアも皇国一般的な女性の振る舞いではなかったでしょうし。
単純に戦場に女性を持ち込む。だとか、将官の尻を女に掘らせたかっただけのような気もしますが。

とかく、主人公として英雄色を好ませようという読者サービスな面もありましたが、なかなかどうして語るに女性が外せない作品ではありました。
そうそう、千早も女性です。一番母性母性していました。

さて、内乱は。
空挺!後方装填式!と、溜まったフラストレーションを発散させてくれる程度にはスカッでした。
敵が短銃・鋭剣の将校たちというのはやや相手に不足ですが、そこは逆転を狙った近衛奇襲なのでヨシ。
新城の最終パーティーは同期生+個人副官+帝国将校+帝国皇族+龍族というヘンテコなものになりました。
この感じ、ハガレンの最終決戦を思い出しますね。あっちよりかはすごい豪華なメンバーですけど。これで近衛だというのだから諧謔の笑みのひとつも失笑してしまいます。

しかし、同期生。
この巻が始まりではないですが、彼らは全員が戦争を愉しんでいるのですよねえ。
新城自体は戦争を手段として扱う男だと思っているのですが、彼が信を置いている(しかも現役を離れていた!)彼らのこの愉悦のことをどう思っているのか。
これはかなり気になる部分でした。
単純に見ると新城はそれを唾棄すべきものとして扱うような気もするのですが…
内心はどうあれ良い将校としてふるまっていればOKそうかも。
なにしろ新城自体が内心は小心ここに極まれる自嘲自罰の人なので…。
許しはしそう。でも好むのかは謎です。
壮大なプロローグが終わり、ガーダーとしての活動が増えればそこらへんも描写されたのでしょうか…


ということで本作は終わりなのですが。
はい、壮大なプロローグでした。

湾岸戦から内乱まで、正直北領戦の出来を超えないんですよね。
全編面白くて、こうやって再読でも楽しんで読み終えることはできたのですけれど。
北領撤退戦が完璧すぎた。
漫画版が続いて欲しかったという話はちょいちょい見ますが、あそこで終わった良かったのかもと読み終わるたびに思います。
私も漫画版から入りましたが、原作を読み進めるとだんだんと既存キャラであっても伊藤さんのキャラデザが抜けていくんですよねー。(猪口除く)
だから、漫画版はあれでひとつの正解だったと思います。

原作については続いて欲しかった!!
剣牙虎!導術による優越!翼竜運用の発展!もっと見たかった…。
戦記ものは全然読まないのですが、今のところ一番好きなのです。
似たような作品が知りたい。
常にままならなさを描き、大勢も常に負けているものの面白いこの作品は貴重なんじゃないかなあと思います。
北領戦を超えられないといいながら、読み出すとまた最後まで読んでしまうような気がしていますし。

未完だけれど、許せる面白さがこの作品にはあるのです。