かのくらかの

かのくらかのが送るかのくらかの。と言われたい。娯楽感想日記。

ネタバレを含みます。

神坂一 スレイヤーズ 06 ヴェゼンディの闇 感想

ゼロスさんがあっさりパーティ入り&正体バラす第6巻。
そっかーそういう立ち位置でしたか。
でもリナならあっさり受け入れる安定感あるので問題なしな感じで。
傍観者の立ち位置だけどちょっと手を貸しちゃうゼロスさんはちょっと好感度高いですよ?

今回の敵役はズーマさんとセイグラムさんの再登場。
パーティが増えたので取り巻きも増えましたが…
かなり戦力的にまずい。
魔族仲間だけでもピンチなのに、もしズーマとセイグラムが同時に来たらムリだろうという展開でドキドキハラハラ。
上手く出来てました。

それでなくても一人につき魔族一体+レッサーデーモンわらわらはやばすぎ…勝てそうにない…
でも勝っちゃうのでゼルもアメリアも強い。強い。
ガウリイのサポートもイカす。戦闘だと大人感ありますね。
しかしラ・ティルトが強い。当たってないですが、一撃必殺を相手に警戒させるのはやっぱりね。
それも二人が使えるので。
まあそれを意識させつつ二人とも魔族相手にも(魔力を使った)物理攻撃に収束。
どう考えてもパーティの戦闘力高すぎですが、相手がそれ以上なので、このパーティって人間相手では負けなさそう。
ズーマさんも初登場の二人相手なら怖いけど、4対1なら怖くない。

そんな感じで過激になっていく戦力に比せずお話が人情味ある展開が続くので、あまりサツバツとせず読めるのもいい。
ただセイグラムさんは残念というかもうちょっと華持たせてもよかったキャラなので、抱き合わせのサブっぽくなっちゃいました。

話良し。キャラの性格出し良し。戦闘良し。伏線良し。の展開で、安定の星4で。
そろそろドラグスレイブみたいなー

佐藤大輔 皇国の守護者 04 壙穴の城塞 感想

ずあっと飛んで篭城終盤へ。
メレンティンの言うように負けるほど強くなる新城はついに司令に。
頭数で言うと定数万越えから9000人と減りはしましたが。

六芒郭編は話題になると必ず丸枝いいよねな流れになりますが、
2回読んでもそれほど?でした。いや良いんですが。
果敢が重点であって配食がテーマでない点が引っかかるのかな?
どちらかと言えば夏川のほうが好きですねー好きです。


要塞戦といえど読んでいてそんな気にならないのは描かれているのが2日程度だからでしょうか。
防衛側独特の(局所的な)圧倒的優位・損害を与えている感に酔えるものの、文量はちょっと物足りず。
それより今回は恋愛小説でしたね。いろいろと。

ユーリアが新城にあそこまで惹かれるのはちょっと驚きというか、稚拙になりすぎて怖いですね。
それでも妥当ラインは割ってないんですが、皇族として支持を得ていたものが一転。
周囲から反感買うのはねー…
もう本部前進させたところなんて攫ってくださいってほどのお膳立てですわ。

怖いほど入れ込んだ冴香さんと合わさって、以降は皇都で色を好む展開です。


軍隊物の何が良いって、バディものとしていいってところがあると思う。
つまり士官と下士官の立場がある上での信頼(誤ったことをするとすぐに失われる前提のもの)。
指揮官と参謀でも同じことが言え、彼ら二人のやり取りが友情とは違った結託を魅せる。
それでいて二人とも兵には違った(まったくもって立場にふさわしい)振る舞いをし、
そこにギャップが生まれる、んじゃあないかなあ。

今までの新城・猪口、ユーリアにカミンスキィ、バルクホルン
もそういった「良い部下」とのやり取りがあって良い。(シュヴェーリンとアルターも好き)
ついでに瀬川みたいな使用人も含めて良い。
なくならない上下関係とそれ前提の友情が、軍隊や国の制度のおかげで生まれやすい。

で、今回は殊更にそれを夏川と丸枝でよく描かれていて、自分の好きなところに響くんじゃないでしょうか。

戦は満足ではないですが、登場人物描写が良くて、うーん、4かな。

不思議のダンジョン 風来のシレン3 ポータブル メインストーリークリア

一応

www26.atwiki.jp

を見た上で、覚悟を持って遊んだ結果、おおむね上記で指摘されている感想に落ち着きました。
今更遊ぶ人は絶対にイージーモードで。
もう一度メインストーリーを進めろと言われたら丁寧にお断りします。

トルネコ3という先達があるので、ローグライク下手な自分としてはレベル継続制には期待していたんですが…

細切れダンジョン

RPGローグライクがこんなに相性が悪いとは思わなかった。
一ダンジョンは短く、最後にボスが配置されている構成。
ボスを倒せばストーリーが進むRPG的。
ボスがマイルストーンになっているので、低レベル進行などはあまりできない。
ダンジョンが短いので、敵構成も前ダンジョンをクリアできること前提の強さで、
「前回はここまでしかもぐれなかったが、レベルが継続しているので次回はもっといけるだろう」
という期待していた方向性とは違った。
ボスを倒せるレベルまで上げる→ボス倒す→ストーリー見る→ボスを倒せるレベルまで上げる
という作業が延々と繰り返される。
そう、延々が間違いでないほどそれが長い…!

ダンジョンに特徴もなく、ボス戦もたいしたギミックがないので非常に単調。

ひどいストーリー

というか途中から理解を放棄して読みとばしていました。
ゲームを中断して邪魔する存在と受け取っていました。
無駄に難解ですし。
ゲームシステム(ストーリー挿入方法)のせいでシナリオが悪く受け取っている可能性もありますが、
それを差し引いてもまあ変な話で。
書きたいことは分からなくもないのですが…

イージーモードでも積もるストレス

前評判を聞いてアイテムロストがないイージーモードではじめましたが、それ故の弊害もありました。
ゲイズの混乱で大事なアイテムを失くすとリセット
壷容量を減らされるとリセット
壷呪われでリセット
ケンゴウに武器を飛ばされリセット(いや遭遇しませんでしたが心持的に)
と、冒険が少しでも不利になるとリセットしてやり直す癖が付きました。
ダンジョンが短い上に、アイテムを集めなおす面倒さを考えると、リセットの方が圧倒的に良い。
アイテム全ロスト以上に、「整える」ことがストレスになったと思います。
単純に集めるためのダンジョン攻略が苦痛なのも大きいですが。

ノーマルだったら絶対やめてた…

悲しいAI

アイテムを無尽蔵に使うので、結局従来のAI方式に変更。
あんなにある設定項目が死ぬのは可哀想…
それでも旧作より悪いのは罠に引っかかったりギタンなどを盗まれること。
つらい。

使わない龍脈システム

まず準備が非常に面倒かつ出るのは中盤。
ランダムに付く印が剣・盾どちらも不要で(まず敵の属性を覚えることが面倒なのでしない。レベルによるごり押しなので)、
修正値上げにも使えない。
メインストーリー中では有用な印で埋める事が難しいので。(合成の壷でじわじわ。マゼゴンに気づいたのは最終盤。そこに出るのか…)
使えそうなのは復活の草増殖ぐらいですが、攻略見ずに思いつく人はどれぐらいいるか…

札システム

イージーモードの都合上、保存の壷詰め詰めで遊びますが、札の補充が至極面倒。
まあこれも実際は封印ぐらいしか使わなかったですが。

ボス

修正値下げやめて。
水ならまだしも炎で下がったときは本当に投げようかと思った。
うっかりすると、鍛冶屋使えるのがかなり遅くなるので(なった)かなりつらい。

まとめ

クリア後ダンジョンはともかくメインストーリーは絶対やりたくない星2つ。(一応クリアしたので)
アスカ居なかったらクリアもしなかったよ…。
4プレイ前に心残しないように3を遊びましたが、なるほど批判されるほどのわけがあるなと逆に感心しながらプレイしました。

佐藤大輔 皇国の守護者 03 灰になっても 感想

ままならぬ
ああままならぬ
ままならぬ

楽しい楽しい大隊編成もつかの間、戦に投げ込まれる新城さん。
きっと彼の頭の中にはあれやこれやがあって、調練パートも面白くなるはずだったんですけどねえ…。

ばっさり切って上陸戦です。
しかしこの巻、さっぱり頭から抜け落ちていました。
話的には新城の活躍が少なく、まあ相変わらずの負け戦。
辛酸舐めるだけなので、かっ飛ばしても良かったかな?次巻自体がまあまあ飛ぶので。

ただし登場人物的には、
中・後半の主人公である草浪・佐脇・冴香の登場巻でした。
佐脇は後を思うとてめえこのやろう!なんですが、
ぜつみょーに俗物にならない程度の凡なる秀才っぷり。
若菜とは違うのだよ。
しかし兵が優秀なのが一助なんですが、それもうれしくない動員ぷりでしきりに地の文サンに指摘されてて可哀想。
冴香はね、色気がすごい。新城さんの情欲がすごいともいえるけど。
この頃はまだデレてない、忠信・挺身がない貴重な期間なので。
後半の巻は仕方ないけれど女で信者っぽくて少し苦手です。

一方帝国側は…今回は帝国の話でしたね。
葉巻横咥えがかっこいいのに翼竜にまで乗っちゃうあざとい人が出てきたり、
参謀と良い感じだったおじ様が無くなったりしましたが、
ひとまず明確にユーリア様の戦略家としての手腕が明確に書かれた巻でしたかしらん。
北領でも十分すごかったですが、帝国の特徴的側面(≒皇国の弱さ)もあったので、今回の主導的な指揮ぶりで魅せた。かな?
書いてて思ったのは、カミンスキィの出世は負けて出世する新城との対比になってるのかな?
守原と違ってこっちも憎め切れない敵役で、趨勢が気になります(忘れてる)。

ってことで、新城があまり活躍しないので星3つ。
本当に大隊編成編で一巻書いて欲しかった。

佐藤大輔 皇国の守護者 02 勝利なき名誉 感想

読み返すと前巻の感想はこの巻の前半食い込んでました。
3巻まで読んじゃったので。

バルクホルン戦から終戦、帰国~同窓会までですね。

前半はキツい。本当に。
前巻部分も敗戦とは言え面白いのですが、こっからは境遇的に本当に可哀想…
小苗川の野戦陣地で応戦できればどれほどよかったか。それが読みたかったというのもあって、行動の無意味さも相まって別働隊編はしんどい…
バルクホルンさんはほんに蜘蛛の糸やで。

前巻の後衛戦闘も面白かったのですが、それ以上に面白いのが俘虜編という皮肉。
思い返せば新城はまったくもって表立った絶賛をされてなかったんですよね。
しようと思えばモブの兵卒に「ミカはあの方はすげぇよ」とでも言わせればいいんですけど、流石にそんな露骨なシーンはなく。
態度で示される信頼の獲得はあるのですが、そこはそれ。なしえたことをほめられたい。
それがなされるのはなんとも俘虜となってから。敵軍の将から。
故国ではめんどーなことが渦巻き。寝返ってもいいんじゃない?と。

それでも帰るのはなんといえども蓮乃の色気。というかじゅーよく抱きまくりの新城目線なんですけれど。
そして駒城家の人が掛け値なしで良い人過ぎて、ああ~ゆがむわ~ゆがみきれんわ~。
幸と不幸の同居っぷりが辛い辛い。
それでも実仁、坂東、笹嶋、瀬川と。貴重な友誼が見えるのは良いですね。今後何の役に立つのか同期生も顔を見せました。

しかし、蓮乃さん。ダメ人間とは言いませんが、ダメ人間製造機のにほいがする。
良くも悪くも凡人でしょうかー。
でも器量がどっちかに傾いても今より良い未来がなさそうでつらみ。
新城からみて解決の見込みがなくとも、蓮乃がすべて諒解しているか、まったくの無知であるならば読み手の私も悶々としないのですが…。
上手く盲目と見れば彼女もやり手なのかな?

精算・準備回。歴史お披露目がやや退屈なのですが、蓮乃と新城。主人公のバックボーン開陳で十分魅せる。
新城にハマればこれも面白い話でしょう。

佐藤大輔 皇国の守護者 01 反逆の戦場 感想

漫画版読み返したらいきおい読み返したくなったので。
2度目です。

エロゲデブなぜ死んだー!!

読んで再度思い直すのは、コミカライズの出来がいいなあという点。
ユーリアを先に出したのは良かったし、新城のデザインが秀逸ですよね。
って漫画版の感想か。

えー、はい。
中尉の癖に国家単位の戦略観を持つ、まっすぐに歪な主人公のなりあがり物語、でしょうか?

似て非なるものが漫画で言うと軍靴のバルツァー

しっかし不思議なことに、このお話、負け戦の話なんですけど面白いんですよね。
本当、なんもかんも上手くいかない。
強いてあげれば夜戦で一大隊と三大隊+遅滞が交換できたことぐらいが成功?
でも大隊長以下死んじゃってるし…
偵察も莫迦のせいで首尾よくは行かず、天龍にうっかり出くわし遅延。
脅しのはずが子供を打つわ、卑劣を承知で取り付けた艦砲射撃は海の藻屑に消えゆ…
挽回の一手の輜重襲撃は手持ちでしたー。小苗の主力は降伏もできず…ってこれは次巻か。

まあまあ夜戦含め新城が大隊指揮官になるまでの必然的敗北が必要なのですが、
まーぁ上手くいかない!
ぶっちゃけ次巻以降も超スカッとする話でもない!
でも読んでいて苦でもなく楽しいのは、新城の性格とこの世界の設定でしょうかー?

戦記・仮想戦記は読まない人ですけれど。
ギリギリ、ライフリングの世界にトラと中国龍と翼竜と、テレパシーによる即時通信。
まだまだ隊列と要塞が強い時代にこんなファンタジーぶっこんだらもうワクワクすること請負。
導術による一方的索敵に、突っ込めば銃兵比1:20の剣牙虎。
上手く突っ込めば確実に被害より打撃が多くなるのに、敵が多すぎてどうしよーもないのが逆に開き直れる原因かな?

新城の性格もですねー。現代的と言いますか。
こう、難しいんですけれど、「読者を有能だと錯覚させることが上手い主人公」だと思います。
新城の考えにうんうん頷きながら読めばあなたも有能な指揮官!
でありながら、完璧には感情移入できない、でも理解できる強烈な粗野な人間味がある。
「兵」には誠実で「自分」には折り合いをつけつつ、「人」には苛烈?でいて至極小心でそれを自嘲してしまう。
うーん、わかりやすくわかりずらい作り。

本当に彼の魅力と、初心者でもちょうど良い感じの作りで、さらに導入用の漫画版まであるという万全な布陣。
この巻で言うと、新城のしがらみが(これでも)少なく、純粋に撤退戦が楽しめるのではなかろうか。
ヒロインは残念ながら猪口曹長となってしまうがそこはご容赦願いたい。
後を知る身としては豪華な前菜。されどここまででも良いかな?と思わせる北領撤退戦。
漫画版以上に濃密な新城の心情を味わいたければ、やはり小説版もいいなあと思わせる読後感でした!

神坂一 スレイヤーズ 05 白銀の魔獣 感想

www.fujimishobo.co.jp

ついにアメリア加入!
ゼロス登場!
ゼルガディスもでるぜ!

そして敵はちょいちょい話題に上がっていたあのザナッファー。
私事ではありますが、ヒーローズファンタジアで非常に苦労した思い出があります。そのおかげで楽な戦い方が分かって後は楽勝になったんですけど。

そんなこんなで5巻!

アメリアさん良いですねー
贔屓目に好きです。
前巻で感じたINTは鳴りを潜めましたが、正義感と直感でのキャラ立ちはいいです。
お馬鹿キャラとしての今までのガウリイくんは読者用キャラで、込み入った話ではお馬鹿込みで影が薄かったのですが、
そこにアメリアはど直球で踏み込む感じ。
リナの思惑を壊せるのはガウリイくんには無かったいい加薬だと思いました。
まあリナはリナでアメリアの動物的勘に信を置いているのもいいですね。

リナさんは今回、魔法封じられて剣戟で魅せていくかと思いきや!
…潜入シーンも良かったけれど…
まさかの強化回。
詠唱時間すこしプラスで威力激増。すごいですね。
あれ、魔力タンクとかじゃなくて単純な増幅ですよね?やばい。
ドラグ・スレイブに使うのが楽しみです。
ラグナ・ブレードの詠唱もスゴクカッコイイデスネ。
トドメがファイアー・ボールというのも捻くれていてgood。負傷込みで。

ゼロスさんはぁー
ずっと崖の上で笑顔で見下ろしているキャラだと思っていたのですが、意外とノリがよくてワイワイしてましたね。
しかし強キャラ感はバシバシ放っていました。体術も勝るとは。
増幅アイテムをあっさり手放すも底が見えないキャラで、この先が気になります。
敵の敵は味方としてちょいちょい準レギュラーとなるのか、あしゅら男爵のような敵をひきつける敵幹部になるのか。

そんな世界の風呂敷を広げに広げたこの巻。
ちょっと説明くさい気もしますが、数でも質でもきっかりピンチ、きっかり勝利と小気味良さは健在。
整ったサブキャラクターで掛け合いのテンポは加速の一途。
エンジン暖まってきたかなって巻でした!