かのくらかの

かのくらかのが送るかのくらかの。と言われたい。娯楽感想日記。

ネタバレを含みます。

佐藤大輔 皇国の守護者 02 勝利なき名誉 感想

読み返すと前巻の感想はこの巻の前半食い込んでました。
3巻まで読んじゃったので。

バルクホルン戦から終戦、帰国~同窓会までですね。

前半はキツい。本当に。
前巻部分も敗戦とは言え面白いのですが、こっからは境遇的に本当に可哀想…
小苗川の野戦陣地で応戦できればどれほどよかったか。それが読みたかったというのもあって、行動の無意味さも相まって別働隊編はしんどい…
バルクホルンさんはほんに蜘蛛の糸やで。

前巻の後衛戦闘も面白かったのですが、それ以上に面白いのが俘虜編という皮肉。
思い返せば新城はまったくもって表立った絶賛をされてなかったんですよね。
しようと思えばモブの兵卒に「ミカはあの方はすげぇよ」とでも言わせればいいんですけど、流石にそんな露骨なシーンはなく。
態度で示される信頼の獲得はあるのですが、そこはそれ。なしえたことをほめられたい。
それがなされるのはなんとも俘虜となってから。敵軍の将から。
故国ではめんどーなことが渦巻き。寝返ってもいいんじゃない?と。

それでも帰るのはなんといえども蓮乃の色気。というかじゅーよく抱きまくりの新城目線なんですけれど。
そして駒城家の人が掛け値なしで良い人過ぎて、ああ~ゆがむわ~ゆがみきれんわ~。
幸と不幸の同居っぷりが辛い辛い。
それでも実仁、坂東、笹嶋、瀬川と。貴重な友誼が見えるのは良いですね。今後何の役に立つのか同期生も顔を見せました。

しかし、蓮乃さん。ダメ人間とは言いませんが、ダメ人間製造機のにほいがする。
良くも悪くも凡人でしょうかー。
でも器量がどっちかに傾いても今より良い未来がなさそうでつらみ。
新城からみて解決の見込みがなくとも、蓮乃がすべて諒解しているか、まったくの無知であるならば読み手の私も悶々としないのですが…。
上手く盲目と見れば彼女もやり手なのかな?

精算・準備回。歴史お披露目がやや退屈なのですが、蓮乃と新城。主人公のバックボーン開陳で十分魅せる。
新城にハマればこれも面白い話でしょう。