かのくらかの

かのくらかのが送るかのくらかの。と言われたい。娯楽感想日記。

ネタバレを含みます。

乙一 夏と花火と私の死体 感想

乙一は高校時代、読書が好きと言ったらクラスメイトにZOO1を貸してもらって初めて読みました。
好きな話はSEVEN ROOMS。
当時は淡白に露悪的な話を書く人なのに、陽だまりの詩とか書いちゃうちょっと面倒くさい人だなあ程度でした。
当時も今もホラー小説?の読み方がわからない人ですし。

あの時分は入間人間にドはまりしていて、影響を受けた乙一が自分に刺さらなかったのががっくしした記憶。
乙一パロもわかっていても忸怩でスルー。

箸休めだったり打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?のタイトルで思い出したりしたので読んでみた。

夏と花火と私の死体

タイトルからずっと連想してたのは、打ち上げ花火に照らされる「私」の死体の固定目線で送る二人称小説だと思っていた。
実際はすごく違ったけど。特に花火。

二人称は合っていたけど、視点が自由で内心も読める、三人称みたいな二人称小説だった。
かなり斬新。死体ジョークも面白いし。
処女作?だということも加味すればけっこうすごいか、才能を感じる出来でしたよね。

話のキモは死体見つかるか隠せるかのドキドキなんだけど、紙一重でセーフすぎる。
セーフじゃなきゃアウトだし紙一重じゃなかったらドキドキしないんだけど。
このギリギリ生き残る感に、なぜかAKIRAの金田を思い出した。(映画)
無能力なのに詰みかけからの生き残りが多すぎる…
異能生存体、かな?未視聴。
だから、話としては少年の胆力を楽しむ話なのかな。
ホラー、ではないよね?

オチはちょっと残念だったかなー。
善良な人がある一点において異常な行動を取る。的なのが好みでした。
でもそうじゃなきゃ誘拐事件のほうが宙ぶらりんになるのかな…?

優子

うーん…
素直に読んだ限りでは優子は人形だったオチでした。
清音が黒い実を(鳥越家に来たあとに)食べたことに気づけなかったし。

そこら含めてもろもろの考察は

ameblo.jp

の感想を読んでなるほどと思った。
ただ、前妻が亡くなってからすぐ新しく妻を迎えてまた長らく床に臥している。
というのは政義の性格から見ても無理があるので、やっぱり燃やしたのは人形かな。としておく。

まとめ

やっぱり淡白すぎる。面白味が足りない…。
怖くもないし、うなるトリックがあるでもないし、感情移入できるようなキャラ立てでもないので、
筆力?とお話(≠ストーリー)で読めるんだけれど、読めてしまうどまり?
一般的な文学小説の読後感ですね。エンタメジャンキーにはエンタメ不足。
過分にホラー小説を読む素養が無いことが原因だとは思うんですがねえ。

タイトルは秀逸なものが多いので、さみしさの周波数、暗いところで待ち合わせなどは読んでみたいですが、10年後ぐらいになりそう。

あ、評価は…3でもいい2かな…。