かのくらかの

かのくらかのが送るかのくらかの。と言われたい。娯楽感想日記。

ネタバレを含みます。

ミミズクと夜の王 感想

Fallout4にかかりきりのときに連載物を中断して読んだ単巻もの。
紅玉いづき先生のデビュー作にして、第13回電撃小説大賞・大賞作ですね。

ネット上でもかなーり長い間話題になり、手にとってはいたものの、プロローグで3回ほど挫折して放置し続け…
気づけば10年前の作品になりました。
時間って恐ろしい…


お話は化け物と身寄りの無い女の子のお話。
ありがちと言えばありがちですよね。
定期的にツイッターで流行ってるような。

ミミズクの食われたがり?属性は序盤で消えて、童話のような流れが続きます。

物足りなさがちょうど良い不思議

このお話には魔物とか魔法とか聖剣とか戦争吹っかける他国とかとかたくさん出てきます。
が、どれも世界設定を匂わすのみで、深入りはせず。
魔物の巣の夜の森といえど、出てきる魔物は王を除けば一匹のみ。
その一匹もかなり人寄りの俗っぽく…

あれの設定は掘り下げないの!?と言いたくなりますが、
では作中のどのエピソードを削るか?
と問われると削るほどのものもなく、これで完成していると言える。
この形が正解なのだろうと腹に落ちる。
そんな作品でした。

人っぽさ

先も書きましたが魔物のクロちゃんは人間寄りです。全体的に人です。
夜の王に至っては…
第一印象から期待したお話は、

  • 人の条理が及ばぬ夜の王という存在
  • ミミズクと交流するが人の条理を解せぬ夜の王
  • 常人と異なる何かを持つミミズク

あたりの人外の理の面白みを期待していたのですが、予想に反して人情味あふれるお話に困惑。
森の外のパートになるのは本当に意外でした。

さらには夜の王の素性ということで、ね。まあ人心の理解も人並みっぽくて。


じゃあ面白くなかったのかというと、そんなことは無くて面白かったです。
最初はつらかったんですけど、でもなぜかいつもよりのめり込んで普段以外の時間も読み進めたりしましたし。
そこらへんは巻末の有川浩先生の解説と同じ…というかあの解説がいろいろベストな気がするから読んでください。
そうこれはストレートなお話なのだ…


いやー良いお話でした。
なので評価は2です。
!?

…いやいいお話だったんです。
でも星3の基準が読み直したいかどうかで、趣味に合わないのでこれを読むなら別の本を読みたいなーと…。
出来自体は5・4でもいいですが、良い評価は大賞と大衆からすでに得ていますから。
ただ3割ぐらいはこれは初読のみ得られる情動でありそれを読み直しで損なうのももったいないなという気分もあり…。
ごくごく個人的に2度目はなさそうでございます。