王女コクランと願いの悪魔 感想
よかった!!!!
よかったよ!!久々によかったよ!! 入江君人?神さまのいない日曜日?魔法の子?タイトルで結構避けてたけど、読もう。
黒髪ロング清楚系は正義
と、言うわけではないのですが、安定した女主人公はいいですね。
タイトルでは二人?の物語っぽいですか、まさにコクランの一人舞台。
彼女のキャラでぐんぐん物語にのめりこませてくれます!
王女として毅然としていて、影では優しい…と思わせさらにはっきりと一線を画す。 情はあるけれど絆されない、まさに完璧超人、ホームズレベルに描かれています。
彼女の指針は一貫しているものの、状況が理解できすぎているゆえに、どんな行動を起こすか読めない、不思議で魅力的な主人公でした。
ジャンルはなんだ!?
これは何小説なんでしょうね。
自分の場合は
- (タイトルから)悪魔…メフィスト系(雑誌ではない)かな?
- ランプの精か。自由にしてやるアラジン系かな?
- おじからもらったのか…不幸にする目的の贈り物から始まる逆襲物語?
- 願い事がない。悪魔は叶えるまで付きまとう。うしおととら系か。
- 落し物…まさかのミステリ?
- 悪魔が助手役の安楽椅子探偵?
- あ、こじんまりした日常の謎か
- キマシタワー
- え、どうなんの…
- ああ、コクランを愉しめばいいのか
1話から2話前半まででこのように遷移いたしました。
入間人間と同じくキャラの会話を楽しむ小説と解釈いたしました。
でも、もしかしたらトップになるかもぐらいの勢いがあって、どうしよう、とりあえず年間トップには据えてもいいかも。
舞台
後宮という閉鎖空間に、悪魔となでる程度の政情が絡まり(あと幽霊か)、停滞した時間が転がる感覚はよかったです。
キャラクターが新天地へ赴かない中で、どう展開するのか気になっていましたが、ああなって、こうなって…
ふーんそう調理するのかと。
もっと設定は練られてそうに感じた。というかもっと読みたい。
舞台
いちテーマが舞台なんですが、正直あまり羞恥せず読むことが得意な部類ではないので、ちょっとしんどかった。
愛すべきサブキャラ
コクランが陰のキャラとして立っているとすると、残りのサブキャラは悪魔しかり陽に分けられます。背景事情はあれど。
陽気を振りまくサブキャラにされど動じないコクランと、うまい具合にテンションを上げ、話の重さを適度に軽く保ってくれていたと思います。
特にヒルディナン。好き。
いわゆる負け犬負けイン、ひだまりスケッチで言う夏目みたいな…好き。
あと、アイネの周りのお姉さま。
ただ1点
メイドのキノンのキャラがちょっと異質すぎるように感じて、肌に合わなかった。
うーん、かなり不思議。ややアニメより過ぎたかな。
完璧よりの年上メイドなら良かった。コクランとコクラン系のキャラとの信頼の上の掛け合いが見たかったというか。
悪魔に触れないの?
狂言回しです。
大きなケレン味と、ギャグ時はやや現代のメタ(読者が慣れ親しんだ)寄りの、読者に寄り添ったキャラ、と捕らえています。
小説で表現する幻
悪魔はたびたびコクランに絢爛華美な光景を見せるのですが、小説の常として紙幅を使いそれをひとつひとつ表現する必要があって、そこに関してはアニメアラジンのようにバンと映像で表現できないのは、小説の特性として惜しいところであるなと感じた。
ただ、劣っているわけではないのだけれど、自分で考える以上、想像外の驚きや恍惚といったものはそれを与えようとしている幻覚から、読者自体は受け取るのは難しいのかな、と。
表現はよかった。どうしてもアラジンにひっぱられたけど。
開放されるものとしてのランプの精
お話はとりあえず行きそうな所へ行ったのですが、不意を打つような展開に関心してしまいました。
ははーんそうなるのか。じゃあ物語の終わりはいずこへ?と。
そして二人の薄氷の関係の大きな転換がおき、自分が好きないびつな友好関係を認識させた上で一度壊す。
もうここらへんはやられた!って感じでどうなるか読めなくなって、読むのがとまらなくなった…
ラスト
は、なんでしょうね。裏切られ、裏切られ、裏切られた。自分が。
そうなってしかるべきことが起き、そうなってしかるべきことが起き、物語としてそうなりうることで終わった。
どちらでもよかったが、そっちになったか。と。それで終わりなんだな。って心境でした。
単巻で終わるならいろいろできたなかでの一つの終わりでしたね。
と、感想を書くときに調べたら、2巻出てた…完璧に単巻だと思っていた。
読む…?
1巻で個人的には終わりでいいと思っているので、大変読みたいですが、しばらくは保留すると思います。別作品読んでからでもいいよね。
以上!文句なしの五つ星!読了後から読み直したい作品でした!